担当ウォーキングデッド

歴代の担当に一定の傾向はあるのかというのは、定期的に語られるトピックだと思う。「なんか私の担当は、歴代みんなメンカラ赤なんだよね」とか、「参謀ポジの人が担当になることが多いかな」とか、巷ではいろんな話を聞く。

私が一番最初に「担当」という概念に触れたのは、小学生のときだった。母が山下智久くんに激ハマりし、その影響で自分もコンサートへ行ったり掲示板を見たりしていた時期に「どうやら一番好きな人のことを担当というらしい」ということを知った。まあ今は「1番好きな人=担当という式は成り立たないこともある」と思っているけれど、当時はポポロの刺激の強い企画を見るとなかなか眠れなくなるレベルにピュアな小学生だったので、担当という概念が何だか特別なものに思えてときめいたものだった。

母に連れられて、NEWSのコンサートへはよく行っていた。CDも聞き、ドラマやバラエティ番組、歌番組も見ていた。母が激務から帰ってきて、山Pを見ると一日のつらさが和らぐ……と「素顔」のVHSを見ている間、私が見ていたのは錦戸くんだった。母の担当が山下くんであることは自他ともに認める感じだったが、私は心の中で「私の担当は錦戸くん……」とつぶやいていたのだった。

当時の錦戸くんは少年から青年になり、若い色気があり、そしてチャーミングでかわいかった。今はもっとチャーミングでかわいくなっている錦戸くんは本当に素晴らしい。少年倶楽部で「強き心で行け」という曲を歌っていたのだけれど、舞台からせり出した、細い、不思議な形のステージで歌って踊っている錦戸くんが本当に素敵で、あの曲だけ何回も何回も観た。

そのあともしばらくNEWSのコンサートでは錦戸くんの顔うちわを持ち、雑誌のインタビューコーナーでは錦戸くんから最初に読み、クリスマスプレゼントに関ジャニ∞のDVDをもらった。当時父がアンチジャニーズだったため、夜中に母と二人でひっそり鑑賞した。47都道府県を回るツアーでは、山口県周南市文化会館関ジャニ∞が来てくれた。当時You&J会員だった母にチケットを取ってもらい、初めて錦戸くんを至近距離で見た。周南市文化会館が小さすぎて、どこにいても至近距離だろというような距離感だった。生で見た錦戸くんは、かっこいいというよりかわいかった。中学生女子がかわいい……となる成人男性、恐るべし。

それからの私は、中学卒業時くらいから2次元に激烈にハマり、歌番組の代わりにアニメを見るようになり、ラブソングの代わりにアニソンを聞くようになり、どんどんジャニーズから遠ざかって行った。「おおきく振りかぶって」の阿部くんがすごく好きだった。阿部くんの夢小説とか読んでたな……。

その後、大学2年生の頃、二次元にハマったときと同じくらい激烈に中島健人くんにハマった。フジテレビだったかどっかの社屋をバックに、夏に雪が降るみたいなめちゃくちゃな曲をファンタジーな衣装で歌って踊る健人くんを見ていると、脳みそのどっかが焼き切れたようになって、しばらくすると1stコンサートのDVDを買っていた。健人くんのどこに一番ときめいたかというと、ポエミーな言葉を全身に受けたところで、全く消費されきらない彼の存在感である。もう存在自体が詩なので、2次元を愛していたころと同じ熱量で彼を愛でても、なお彼が上回ってくる感じ。サイコーだな……と思った。初めてコンサートへ行ったのは、春の大阪城ホールだったか、友人と外で花見をしてから参加したのだった。もう偶像崇拝の極みという感じで、ひたすらに自分の中の詩的な言葉を掻き立ててくれる中島さんマジありがとうございますという感じで、日ごろ普通に生きていても、電車に乗っていても健人くんのことを考えると脳みそから自分ってこんなにロマンチストだったっけ……と言いたくなるようなポエミーな言葉があふれてきて、それはそれは日常が美しくてたまらなかった。完全にハイだった。好きすぎて好きで好きなだけだった。

健人くんとの楽しい日々を過ごしつつ、他のジャニーズ情報も仕入れるようになっていた。子どもの頃にはなかった、自由に使えるネット環境があり、Twitterアカウントがあった。ファンのアカウントを見てはブログを読んで、またアイドル雑誌を買うようになった。そしてカウコンで、風磨くんときゃっきゃする中島先輩をテレビで見ていたら、突然のお知らせに呆然としてしまった。ジャニーズWEST4のデビュー宣言だった。

それを見たあと、ファンの動きなどを見て「へえ、あぶれちゃった子がいるのか」と知った。雑誌で確認すると、同い年の子がふたり。正直にかわいそうだな、と思った。こんなにかっこいい子がなぜ?と思った。それがジャニーズWESTに興味を持った最初の瞬間だった。

その後、デビュー発表のあとメンバーの直訴により増員⇒それを舞台中に発表するというドラマチックなことが起こり、私は「乗るしかないこのビッグウェーブに…」という感じで、ジャニーズWESTのデビューシングルを全形態購入した。当時は面白そうと思ってチェックしていたが、1stコンサートに参加して「何があってもがんばるんやで」という照史くんの言葉にぽろっと泣いてしまい、大阪城ホールから帰る電車の中で「この人を担当にしよう」と決めた。まさか照史くんに撃ち落とされるとは思っていなかったため、入場する前買ったうちわは小瀧くんのうちわだった。人生何があるかわからない。

と、ここまで担当遍歴を振り返ってきたが、傾向についてはどうだろう。関西人がシティボーイを挟んでいる。キャラ的には健人くんが群を抜いてトンチキ。

色々と考えたが、顔の傾向はわりと一致しているのではないかと思う。全員犬顔。圧倒的犬顔率。私は自分の顔の好みを「眉がしっかりした和顔っぽい人が好き」と解釈していたが、それを端的にいうと「犬顔好き」だったのかもしれない。

顔の好みは一貫しているっぽいが、性格はどうだろう。なんとなく共通しているかなと思うのは、「実はかわいい」というところ。パブリックイメージとはうらはらなかわいさが漏れ出てしまっているタイプが好きらしい。ビビッてちょっと泣いてしまう錦戸くんもカワイイだし、年上男性にきゅるるんとしがちな健人くんもカワイイだし、スヌーピーが好きで一人ごはんが苦手で感動屋な照史くんもカワイイだ。カワイイでしかない。

ただ、犬顔で実はかわいいジャニーズは他にも結構いる。いっぱいいる。その中からなんで彼らが担当になったのかと言われると、やっぱりタイミングと、言葉にできないときめきが大事なんだと思う。自分の中の担当ビンゴが一つずつ空いていってビンゴ!担当!みたいな感じだったわけではなく、毎回ビンゴカード自体を燃やされたような衝撃がある。特に照史くんは顕著だった。コンサート終盤のたった一言で、この人がいい……と涙が出てしまったのだから、もうそういうものなんだと思う。諦めるしかない。抵抗したって仕方がない。そういう気持ちって、自分の思いもよらない方向から銃で撃たれるのって、非日常だ。そういう出会いを、知らず知らずのうちに探しているのかもしれない。一度撃たれてまた起き上がって、また撃ち殺してくれる銃口をさがす。

ただ、今は照史くんに毎日機銃掃射を受けるような日々を送っているため、しばらくウォーキングデッドにはならずに済みそうである。